笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
教室までの廊下を歩きながら、あたりを見回す。
そこに広がるのは、いつもと変わらないはずの景色。
朝のホームルームまでの時間をおしゃべりして過ごす生徒たち、通り過ぎていくスマートフォンの電子音。
目から入ってくるものも、耳から入ってくるものも、変わらないはずだけど。
何かが違う。
りぃがいないせい?
いや、違う。
昨日、両親にもらったネックレスを付けてきたせいかもしれない。