笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


普段アクセサリーをしない私がネックレスをしているのだから、景色が変わるほどの変化を感じても可笑しくはないはず。


ネックレスのせいか。


いや、それとも――


奏に、出会ったせい?


その名前が頭の中をよぎったとき、私は無意識に歩き出していた。


それはきっと、あの場所へ。


遅刻はしたくない。


欠席なんてもっとしたくない。


これ以上無断欠席をすれば、私は担任に注意される。


ルールを破るなんてしたくない。


悪い子にはなりたくない。


だけどそんな私の気持ちと裏腹に、進む足は止まらなくて。

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