笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
「お腹減った~、今日の晩ご飯何かな」
校舎を出て歩き出す、家までの道のり。
りぃは私の横を歩きながら、そう言って笑った。
下校時刻とはいえ、やはり夏の気温は私たちを汗ばませる。
オレンジ色に染まった夕日が私たちをその色に染め、じわじわと暑さが伝わる地面に2つの並んだ影を落としていた。
微かな風が吹き、私たちの頬を優しく撫でる。
そこに、まるで自分が透明になったような感覚が運ばれてきて。
――見上げると、空は残酷なほど美しかった。