笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


大きな世界をひとつに繋ぐこの空が、小さな呼吸しかできない私を苦しめる。


「…ハンバーグだって言ってた」


私は空から視線を外し、何秒か経った頃に口を開いた。


いつの間にか止まっていた、数秒の時間と自分自身の足。


りぃは立ち止まった私に気がつかず、そのまま前へと歩いていく。


少しずつ遠くなっていく、りぃの背中。


だけどその背中を見れば、私は私の場所にいることを確認することができる、いつだって。


どんなときも、どんな私も。


受け入れて、そばにいてくれたのはりぃだった。

< 14 / 463 >

この作品をシェア

pagetop