笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
4 ◇ 親友
それから私はずっとその部屋で奏と話をしたり紅茶を飲んだりして、何気ない時間を過ごし、本当に一度も授業に出なかった。
授業を欠席することにはまだ少しのためらいと罪悪感を感じてはいたけど、奏といる時間は本当に温かくて、優しかった。
そして今、あの場所で奏と別れ、周りの下校する生徒に混ざって私も下校しているところ。
落ちかけた夕日は今日もオレンジ色で、いつもと何も変わりはない。
だけどこの景色を見ている隣にりぃがいないことには、やっぱり違和感を覚えた。
「…りぃ大丈夫かな…」
私はひとつの影に目を落として歩きながら、小さな声で呟いてみる。
朝の時点で38度もあったけど、病院に行ってちゃんと下がっただろうか。