笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
「何でそんなに嬉しそうなの」
私はそう言いながら、とりあえずりぃの部屋にカバンと腰を下ろす。
「ふふ、心配してくれたみぃが嬉しくて」
そんなこと言われる余裕もないくらい心配したんだからね、と言いたくもなったけど、りぃのその笑顔に悪気なんてなかったから。
私は、そのままりぃの話を聞くことにした。
「ていうか点滴って…普通の風邪だったの?」
風邪や熱なんて私自身もあまり経験がないから、それについての知識はほとんどない。
そんな私の質問に、りぃは頷いた。
「そう、夏風邪?とか言ってね、ちょっと寝不足続いたりして、免疫力が落ちてたんじゃないかーって言われた」