笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


やっぱりこれは恋ではなかったのかもしれない。


恋と呼ぶのは早かったのかもしれない。


間違えた、かもしれない。


私は何となく視線を外して、りぃの部屋の床へとそのままその視線を落とした。


そしてりぃからは何の言葉も返ってこなくて、何か別の話に切り替えようと話題を探し出したときだった。


「相手のことをもっと知りたいと思うのが恋じゃないの?」


――りぃが、ただ私にそう問いかけた。


私は顔を上げて、りぃを見る。


りぃは不思議そうな表情浮かべたまま。

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