笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
“優等生、やめちゃえよ”。
“私と一緒に、劣等生になってみる?”。
奏の言葉、りぃの言葉。
きっと私が自由に生きるためには、このくらいの度胸も必要だ。
そうでもしないと、自由には、私の生きたいようには、生きられない。
人から良い評価をされたいと思いながら、好きなことをして自由に生きるなんて、きっと難しいことだと思うから。
「…ありがとう」
その私の言葉は、ネックレスが似合うと褒められたから言った言葉なのかもしれない。
だけど、私のその“ありがとう”には、父親と母親に対する言葉にできないような細かい感謝まで、こもったような気がした。