笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
5 ◇ マドレーヌ
「りぃ、体調はもう本当に大丈夫なの」
翌日。
「だーいじょうぶ!ほらこの通り元気だよ~」
りぃは笑顔を浮かべ、軽い足取りでステップを踏んだ。
1日を挟んで、いつもと同じ登校中の景色が私の周りに戻ってきた。
38度という高熱を1日で下げられるなんて思わなかったから、これには正直とても驚いた。
それは朝、私が朝食をとっているとき。
“依梨は今日も学校を休ませるわね”。
母親は、私に向かってそう言ってきた。