笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
いくら昨日の段階で元気に見えたりぃだって、38度もあれば絶対具合が悪いに決まっている。
1日寝ただけでは、熱は下がりきらない。
私はそう思っていたし、母親もりぃを学校に行かせるつもりはなかったみたいだけど。
その途端に、りぃの部屋のドアが勢い良く開いた音が聞こえて。
驚いた私と母親が音のする方を向くと、そこには制服に着替えたりぃが笑顔で立っていた。
“みぃ!お母さん!私元気!学校行ける!”。
その言葉とともに、りぃは食卓へと走ってきて。
母親と私は口を揃えて“無理したらぶり返すよ”と注意をしたけど、そんな注意は全くりぃに効かなかった。