笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


りぃがいなかったのは昨日1日だけだったはずなのに、本当に違和感を感じたし、物凄く静かだったから。


だから、気が付かないうちにいつも、きっとりぃを探している。


隣のりぃを、気がつかれないようにこっそり見た。


「暑いなー」


りぃはそう言って、手のひらでパタパタと顔を仰ぐ。


朝から強い日差しが私たちを照らしていて、こうして話をしながら歩いているだけでも既にその暑さに汗を感じるほど。


私はりぃの言葉に頷きながら、また前を見て歩き出す。


「ってか、みぃの好きな人見てみたい~」


突然、りぃが不意に笑顔で、鼻歌交じりにそう言った。

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