笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


私はその場所をめがけて、歩き続けた。


でも。


この廊下は何度歩いても長く感じるものである。


そしていつも通り、途中、何人かの生徒とすれ違う。


そう、学校の廊下は。


周りの人間と同じ空間にいるはずなのに、まるで自分だけが呼吸ができないような、異空間だ。


私の目を見るはずのない生徒たち。


友達とパックのジュースを飲み合いながら、笑って。


スマートフォンで音楽を聴き合いながら、笑って。


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