笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


――りぃは、私の自慢の双子、そして私の憧れだった。


「依美?」


「みぃ?」


2つの声に呼ばれて、私は失っていた意識を取り戻したかのように、目を大きく見開いた。


「あ、ごめん」


私が言うと、奏とりぃは笑って私を見た。


2つ並んだ、その笑顔は。


いつも私が目にしている、大切なものだった。


私の瞳がただ、2人の笑顔を見つめていたとき――


「沢野!」


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