笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
低くて大きな声で名字を呼ばれて、思わず肩が跳ねる。
――ついに、怒られる。
きっとついにこのときが来てしまったのだと、思った。
前までの私が恐れていた、このときを。
気がつかれてしまったのだ。
私が一昨日の午後から、一度も授業に出ていないことに。
――でも私は決めた、少しの間は自由に生きると。
例えそれが悪いことだとしても、自分の意思を持って生きると。
私は意を決して、その声のする方へ視線を動かした。