笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
でも奏のことを知っていたり、奏のことが好きだったりすると、きっとこれは笑顔に見えない。
奏の、笑顔が、悲しい。
笑顔なのに、悲しい。
今の私の瞳には、そう見えた。
でも。
それは逆に考えると、奏のことを少しづつ知れているということなのかもしれないから、ここから何かが変わっていけばいいとも思っていた。
そして。
「ここ、2年前までは、俺の部屋じゃなかったんだよ」
奏は私を見て、笑った。
2年前まで、奏の部屋じゃなかった――…。