笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


――これでいいと、思っていた。


俺は読みかけの本を閉じると、立ち上がる。


そしてそのまま、教室を出た。


「んー…」


教室を出た俺が向かったのは、図書室。


伸びをしながら、ただその道のりを歩く。


あの教室は、居心地が良くないし、落ち着けない。


いくら自分の好きな本を読んでいたとしても、それだけでは誤魔化せない何かが、俺の時間の邪魔をしていた。


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