笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


いい場所だと思った。


この高校の校舎は新しいはずなのに、図書館の床と本棚は木製で、少しレトロな印象を受ける。


でもそのレトロさが何とも言えない温かみを生み出していて、落ち着いて本を読むのには最適だ。


たくさん並ぶ本棚の周りを一周した。


俺がよく読むのは推理ものとかファンタジー系の小説。


俺に似たような主人公とか、俺が共感できるようなストーリーが多くて、読んでいて楽しいと感じる。


「これ…」


数ある本の中から俺が手にとったのは、分厚い一冊の本。

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