笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


そして、そのまま物語を読もうとしたとき。


俺は著者の名前を見ていないことに気がついた。


そしてその本の表紙を見ようと、もう一度本を閉じた瞬間。


「っう…グスン…っ」


――誰かが入ってきたと思えば、聞こえてきたのは涙をすする音。


振り返って、ドアの方に視線を動かす。


そこには――、一人の女子生徒がいた。


目が合って、少しの間見つめ合う。


< 256 / 463 >

この作品をシェア

pagetop