笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


彼女は俺の顔を見て、少し悲しそうに、そして少し不思議そうに、そう言った。


何で、笑っているのか。


俺が一番知りたいし、俺が一番分からない。


泣いている人の前で笑うなんて、最低だとは思う。


だけど“俺は生まれつき泣けない”だなんて理由を説明したところで、これを分かってもらえるはずなんてない。


有り得ないって馬鹿にされるだろうし、それこそなんのファンタジー小説だよって信じてもらえないだろうし。


だから。


俺は、こう言うしかなかった。

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