笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


潤んだ瞳のまま、白い歯を見せて、笑った。


「私の名前は彩菜、君より2つ上だけど、呼び捨てでいいよ、あとタメ語でいいよ」


その笑顔は、本当に眩しくて。


俺の笑顔とは違う、最高に素直な笑顔だった。


魅力的、だった。


「城咲 奏です」


「です、はいらないってば」


――思えばそれが、俺の恋のきっかけだった。


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