笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


もしかしたら、この人だったら俺の全てを信じてもらえるのではないか。


そう、勝手に期待した。


そして、その日が依美の誕生日だと知った俺は。


“誕生日、おめでとう”。


笑顔で、声をかけた。


その言葉を聞いた依美の表情は、確かに無表情だった。


だけど。


俺には何故か伝わったんだ。


依美が、俺の言葉に喜んでくれていたことが――

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