笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
7 ◇ 愛情




私はそれから毎日、奏とあの部屋で過ごしていた。


“優等生”をやめて“劣等生”をはじめた最初の1週間の間は、両親や担任に申し訳ない気持ちと、何とも言えない罪悪感があって、正直落ち着かなかったけど。


2週間目くらいからは、その感情も徐々に薄れていった。


薄れていったこと、それが良いことなのか、悪いことなのかは考えていなかった。


とにかく私は、ただ好きな人と好きな時間を過ごして――自分を好きになろうとしていただけだった。


そして。


消えていくその感情と反比例して、私の中に増えてきた感情があった。


――それは、“楽しい”と思う感情だった。


奏と一緒にいると“楽しい”。

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