笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
奏を好きだという気持ちは、持ち続けていたい。
でも仮に、本当に仮に、この関係に“恋人”という称号がついてしまったら。
私はきっと、奏にたくさん迷惑をかけるから。
私はきっと、奏の重荷になってしまうから。
私たちの目的は、“本当の幸せ”に気が付くことで。
“2人が恋人になる”ことではない。
本当の幸せを求めて、似たような悩みを持った2人だから、ただ一緒にいるだけ。
私たちの関係は、恋人ではなく、友達。
いつか離れることになっても、その運命はきっと私には変えられない。
それを忘れては、いけない。
だからこそ――一緒にいられる時間を、大切にしていきたい。
私はただ、それだけを心の中で繰り返していた。