笑顔を持たない少女と涙を持たない少年




そして――


奏と出会ったあの日から、3ヶ月が経った頃だった。


「依美、話があるの」


そう声をかけられ、全身に冷や汗をかいた気がした。


今私は、自宅の食卓に、母親と二人、向かい合って座っている状態である。


時刻は17時。


私は学校から帰宅した直後だ。


父親はまだ仕事中、りぃはクラスの友達と遊びに行ったため、この家には本当に私と母親しかいなく、静かで緊迫した空気が私たちを覆っている。


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