笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


――覚悟はしていても、いざ本当のことを言われると、少し胸が痛かった。


「お母さん知らなかったわ、授業に出ないでどこに行っていたの」


母親の声は、いつもより少し低くて。


私に対する怒りの表れなのか、悲しみの表れなのか、呆れの表れなのか、分からなかったけど、その声はとにかく暗かった。


母親は私を見つめたまま、目を離さなかった。


母親を傷つけてしまったことに。


母親からこんな暗い声を発させてしまったことに。


私が私じゃない気がして、苦しくて。


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