笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
どうすれば奏が、少しでも“笑顔”でいてくれるのか。
それをしっかり考えるために、奏の話を聞くから。
そして、もしかしたらそれが――
私の幸せに繋がるかもしれないから。
2人で“本当の幸せ“に気が付くために、いろいろな話をしていきたいから。
「俺の両親は、俺が小さい頃に別れたんだ、それからはずっと、俺と母さん、2人で暮らしてた」
話を始めた奏は、やはり笑顔で。
私はどんな言葉も聞き逃さないように、奏を見つめた。