笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
私が奏に届けられる精一杯の想いで、誤魔化してしまうけど。
それでも――
奏が本当の笑顔になるきっかけ、そして、涙を流せるきっかけになりますように。
だって好きなものに向き合っていると、きっと人間は強くなれるから。
奏が料理が得意と思うなら、料理をして欲しい。
そうすれば、何かが少しづつ変わっていくかもしれないから。
そして私たちは学校をこっそり抜け出し、奏の家に向かっていた。