笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


奏の母親は煙草をその辺にあった灰皿に捨てると、私の目をやっと見て、それだけ言った。


そして、ゆっくり近づいてくる。


――怖い。


でも私は怒らせるようなことを言ってしまった。


だから仕方ない。


でも――後悔はしていない。


奏は私を変えてくれた。


私を強くしてくれた。


だから今度は、今度は私が少しでも奏の力になりたい。


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