笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
でもその期待は、すぐにしぼんでしまう。
最終的に私の心に決まって浮かび上がってくる、“やっぱり笑えるはずなんてない”の一言によって。
私は何事もなかったかのように鏡から目をそらし、紺色のハイソックスを履いて準備をバッチリ整えた。
その瞬間。
「みぃ~~~!ハッピーバースディ~~!」
部屋のドアが勢いよく開いたかと思えば、りぃがハイテンションでそう叫んだ。
いつもは登校時間ギリギリまで寝ていて、パニックになりそうなほど焦りながら準備をしている姿がお決まりのりぃ。
だけど毎年誕生日の日だけは、こうやって早起きして私の部屋に飛び込んでくる。