笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


今まで伝えようともしなかった、全てのこと。


他の誰かに、自ら伝えることができた。


精一杯立っていて、意地でも抜かなかった力が、今この瞬間、本当に抜けきって。


「依美っ」


また、奏に助けられた。


倒れかけた私の身体を、奏は支えてくれる。


いつもなら“ごめん”と、すぐにその腕から離れる私だけど。


「っ、奏」


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