笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


りぃが祝福されている間はそっと気配を消して、なるべく邪魔にならないようにしている。


どちらにせよ、好都合だ。


祝われても、私は笑顔で感謝を言えたりしないから。


これで、いいんだ、これが、いいんだと、思う。


りぃとはクラスが違うから、学校へ着いてしまえば私が誕生日だと気づかれることもない。


誕生日なんて、他人から見てしまえばただの一日。


私にだけ特別な日なんて、なくたっていいのかもしれない。


祝福の言葉なんて、なくたっていいのかもしれない。

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