笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


誕生日なのに笑えない私がそばにいたって、私もりぃもその周りの人間も、きっといい思いはしない。


だから、ちょうどよかった。


「…よい…しょ、と」


自分の席が窓際だということが、毎日この教室で過ごしていく中での一番の救いだった。


誰にも邪魔されず、一人の時間を堪能することができるから。


教室の中、私の周りでは女子生徒たちがグループになって机をくっつけ、楽しそうにお弁当を広げている。


耳を突き抜けていくようなその女子生徒たちの大きな声はなるべく聞こえないようにして、私は自分の机と椅子を更に窓際へと寄せた。


そして母親の作ってくれたお弁当をその上に出し、そっと蓋を開ける。


白いご飯の上には、器用にカットされた海苔で作られた文字が乗っかっていた。


“Happy Birthday!”。

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