君の声に溺れる
「……相原さん」
私は、覚悟をした。何を言われたとしても、傷つかないための覚悟を。
「俺も、ずっと前から、相原さんこと……好きだった」
「………っ」
「好き、です」
やっぱり、彼の言葉はとても重い。その重さに、私は抗いようもなく溺れていく。
本当は最初からそうだったんだと、今更になって気がついた。
耳に残る笠原くんの言葉たち。熱っぽい彼の瞳。『好き』という彼の精一杯の一言。
私は溢れそうになる涙を押しめて、懸命に笑った。
「俺の彼女に、なって下さい」
「……喜んで!」
fin.
2016.09.02
2020.08.02