君の声に溺れる



「じ、じゃあね!お買い物ごゆっくり!」


 笠原くんの返事も待たないまま、コンビニを飛び出した。何とも言えない、あの気まずさの塊のような空気間の中を一緒にいる自信が、私にはまるでなかった。
 自転車に跨って目の前の坂を一目散に急降下していく。その道中で、私はふと、何かを忘れていることに気がついた。


「あっ○リ○リ君!」


 結局、坂を下ってから三十分かけて駅前のコンビニに向かった。
 それから、もう二度とジャージで外をうろつかないことを私は心に誓った。


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