今宵、君と月の中で。
・“さよなら”まで
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七月に入ると暑さが増し、湿度の高い日々が続く中で今日から期末テストが始まった。
クロと毎晩会いながらも勉強時間だけは減らさないように心掛けていたおかげか、今日の二教科分のテストはわりと手応えを感じることができて、帰宅してから問題用紙を見直したあとでホッとした。
まだ進学することしか決めていないけど、どこの大学を受験するとしても恐らくセンター試験を避けては通れない。
将来のこともまだわからないから学部も決められなくて、受験に必要そうな科目は塾で受けている教科以外も満遍なく勉強するしかなかった。
両親に言えば問題集は何冊でも買ってもらえたし、勉強している間は他のことを考える暇がなくてつらい記憶に悩まされずに済んだから、私にとっては勉強は嫌だと感じるよりも利点の方が多かった。
そんな中、ツキは相変わらず私の傍からほとんど離れることなく過ごしていたけど、食欲が少しだけ落ちたままだったことがずっと気になっていたから、ようやく動物病院に連れて行くことにした。
いつもお世話になっている優しい笑顔の獣医師が、今日もしっかりとツキのことを診てくれた結果、幸いにも特に異常は見つからず、『水分をしっかりと与えるように』と言われただけだった。