今宵、君と月の中で。
「じゃあ、それも質問事項として覚えておくよ」
満面の笑みだったクロの顔色がほんの僅かに変わったかと思うと、彼はにっこりと笑って見せた。
その瞬間、クロと私の間に温度差を感じてしまった。
彼が今日のことを喜んでくれているのは間違いないし、今までだってずっと私と向き合おうとしてくれていた。
ただ、そんなクロだけど、私との関係は“あくまで一ヶ月間だけのもの”と考えているのだろう。
自分でも知らない間に心を開いていた私に反して、彼の私に対する距離感は最初からずっと一定だったように思えて……。
同時に胸の奥がチクチクと痛み始め、寂しいような悲しいような、切なくて惨めな感覚を抱いた。
「またそれ? まぁ、別にどうしても知りたかったわけじゃないし、むしろクロの連絡先なんて知らなくてもいいけどね」
そんな気持ちを誤魔化したくて、舞い上がる心のせいで勢いづいてしまったことを後悔しながら、ぶっきらぼうな口調で平静を装った。
「そもそも、知ってる方が便利かと思っただけだし!」
「来週までは毎日ここで会うんだから、別に連絡先なんて知らなくても問題ないよ」
あくまで“知りたかったわけではない”と強調する私を余所に、クロはごく普通に微笑んでいた。
満面の笑みだったクロの顔色がほんの僅かに変わったかと思うと、彼はにっこりと笑って見せた。
その瞬間、クロと私の間に温度差を感じてしまった。
彼が今日のことを喜んでくれているのは間違いないし、今までだってずっと私と向き合おうとしてくれていた。
ただ、そんなクロだけど、私との関係は“あくまで一ヶ月間だけのもの”と考えているのだろう。
自分でも知らない間に心を開いていた私に反して、彼の私に対する距離感は最初からずっと一定だったように思えて……。
同時に胸の奥がチクチクと痛み始め、寂しいような悲しいような、切なくて惨めな感覚を抱いた。
「またそれ? まぁ、別にどうしても知りたかったわけじゃないし、むしろクロの連絡先なんて知らなくてもいいけどね」
そんな気持ちを誤魔化したくて、舞い上がる心のせいで勢いづいてしまったことを後悔しながら、ぶっきらぼうな口調で平静を装った。
「そもそも、知ってる方が便利かと思っただけだし!」
「来週までは毎日ここで会うんだから、別に連絡先なんて知らなくても問題ないよ」
あくまで“知りたかったわけではない”と強調する私を余所に、クロはごく普通に微笑んでいた。