今宵、君と月の中で。
宿題を終えた頃、帰宅して部屋にやって来た母と軽く会話を交わした。
内容は本当に他愛のないもので、その時間はほんの五分ほど。
母が仕事の日は大体こんな感じで、私も受験勉強に励む身だから特別なことがない限りは会話が長引くことはない。
父とは仲が悪いというほどではないけど、平日はほとんど顔を合わせないこともあって会話もない。
休日に顔を合わせればさすがに話すけど、お互いに口下手だからこの数年は話が弾むことはなかった。
それに、父も私もどう接していいのかわからないという気持ちがあるのだと思う。
友達と呼べる人がいないから他の家庭や親子関係がどんな感じなのかは知らないけど、両親の仲は良好のようだし、私自身はこの状況に対して特に不満を感じることもなかった。
ただ、忙しい両親との関係は気軽に相談できるようなものではないから、いざという時ですら頼り方がわからないというのはあるけど……。
「ツキが人間だったらいいのにね」
だからこそ、私にとってツキの存在はとても大きく、この台詞が口癖になっている。
だけど、それが叶わないとわかっている私は、いつからか眠る前の日課となっているツキの額へのキスをしたあと、ため息混じりの微苦笑を零した──。
内容は本当に他愛のないもので、その時間はほんの五分ほど。
母が仕事の日は大体こんな感じで、私も受験勉強に励む身だから特別なことがない限りは会話が長引くことはない。
父とは仲が悪いというほどではないけど、平日はほとんど顔を合わせないこともあって会話もない。
休日に顔を合わせればさすがに話すけど、お互いに口下手だからこの数年は話が弾むことはなかった。
それに、父も私もどう接していいのかわからないという気持ちがあるのだと思う。
友達と呼べる人がいないから他の家庭や親子関係がどんな感じなのかは知らないけど、両親の仲は良好のようだし、私自身はこの状況に対して特に不満を感じることもなかった。
ただ、忙しい両親との関係は気軽に相談できるようなものではないから、いざという時ですら頼り方がわからないというのはあるけど……。
「ツキが人間だったらいいのにね」
だからこそ、私にとってツキの存在はとても大きく、この台詞が口癖になっている。
だけど、それが叶わないとわかっている私は、いつからか眠る前の日課となっているツキの額へのキスをしたあと、ため息混じりの微苦笑を零した──。