今宵、君と月の中で。
ツキのご飯を用意したあと、寂しそうに玄関まで見送ってくれたツキを優しく撫でて家を出た。


学校から帰る時よりも僅かに雨足は弱まっているけど、相変わらず止む気配のない空模様にため息を零しながら傘を広げた。


駅まで足早に歩いて学校方面の電車に乗り、ふたつ先の駅で降りてから徒歩三分。


その道のりを経て、塾に着いた。


一限分の授業は五十分で、それぞれ十九時と二十時から、そして二十一時には終わる。


授業を受ける日は二十二時までなら自習室を自由に使えることになっていて、テスト前には私も利用することが多い。


両親が多忙のうえにひとりっ子の私は、自宅でもしっかりと勉強に集中できる環境ではあるけど、わからないところがあればすぐに訊ける塾で勉強するのも効率がいいのだ。


だから、学校の宿題で苦手な問題がある時には、塾で片づけることもある。


少し早く着いた日にも自習室を利用して勉強をしたり、時にはあえて早く来て自習室で過ごすこともあった。


今日は数学も英語も抜き打ちテストがあり、最後の二十分は小テストで終わった。


手応えを感じていた私は、次回の授業で小テストが返却されるのを楽しみにしながら自習室に足を運び、三十分ほど勉強してから塾を出た。

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