ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
振り向くと綾さんがすぐそばに来ていた。
「綾さん、すみません、私」
「大丈夫大丈夫、すぐ行って」
さっと私のバッグを渡してくれる。
みんながこっちを見ていて親たちの喧嘩に巻き込まれてるのがバレバレだけど、恥ずかしがってる場合じゃない。
近くにきたシゲとも目が合った瞬間、私が何か言うより先に守に腕を引っ張られた。
「東城先輩、姉ちゃんが許してても俺は許してませんから。あんたのせいで姉ちゃんがどんな立場に追い込まれたかわかってんですか」
「守、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
守の腕を振り払い、その背中をドアの方へ押し出す。何言い出してんの急に、このバカ。
「なんでもないから。勘違いだから。騒いですみません」
シゲに言ったのか、誰に言ったのかわからないような謝罪をして、とにかく外に出る。
守のバイクの後ろにまたがってヘルメットをかぶった。とにかく行かなくちゃ。