ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?

守たちに助け起こされて立ち上がったら、気まずそうに小さくなってベッドに座っているおじさんと目が合った。


「おじさん、おかえりなさい」


そう言ったら、守も「おかえり。みんな探してたんだよ」と付け加えた。


おじさんは顔を赤くして、何も言わずにうつむいた。


「俺は探してないぞ」


まだ言っているお父さんは、それでも怒りの勢いを削がれたらしく大人しくお医者さんたちの話を聞いていた。


「ごめん、兄ちゃん」


小さすぎる声の謝罪は、きっとお父さんには届いてないけど。でも、たぶん大丈夫だ。




おじさんは女の人とどこかの街に行った後、うまくいかずこっちに戻ってきていたらしい。


遊び友達の家にもいつまでもいられず、地元に帰るかどうか思案している時に事故に遭い、うちに連絡が来たという話だった。


脳しんとうを起こしていたけど大したことはないらしくて、検査が終わればすぐに退院できることになりそうだ。




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