ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?



その夜、家に帰ってからスマホを充電して、時間が遅くなったけどやっぱり電話することにした。


ワンコール終わる前に、すぐにシゲが出てくれた。


会社で騒いだことを謝って、おじさんの容体と、お父さんは大騒ぎして結局最後は怒られていたことを伝えた。


『儲け話に手を出しちゃうっていう、あのおじさん?』

「そう。でも結局ね、借金だけじゃなくって女の人も作って逃げ出しちゃってたんだよね。ほんと困った人で、でも面白くて憎めなくって」

『よかったな、無事で』

「うん。すぐにお父さんまた怒り出すんだけどね、絶対。いればいるで大変な人だから」


中学のとき、おじさん武勇伝を散々シゲに聞かせた覚えがある。


「でもよかった。帰ってくるの待ってたの、ずっと。どんなことになってても」

『そうか』


それだけ答えてシゲが黙った。なんとなく、私も声を出せなかった。


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