ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?


シゲはむやみに誠実だ。目の前にいる限りは。


でも、薄情。きっと目の前から消えた途端、私のことをまた思い出しもしないんでしょ。


だったらせめて、今度は私から自分で消えられたらいいのに。シゲが居る場所から。何も言わないで、突然。


それも思い切れない自分に、ほんとにうんざりする。


夏のバイトが終わったら、自然とまた遠くなる。その後のことを考えないようにしてる。




いなくなる時は教えてなんて言ったけど。それも嘘だ。


ほんとは、ずっとそばにいさせて欲しいだけ。見てるだけでもいいから。誰を好きでもいいから。どこにも行かないで欲しいだけ。


そんなこと言う勇気もないくせに、いつも人のせいにしてばっかり。


純のため、シゲのせい。お父さんのせい、守のため。


嘘なんだよね、そんなのも。わかってるけど。
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