ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
ベッドの上でゴロゴロと、「この先どうしよう」とつぶやいてみる。

大学生の夏休みは長くて、八月九月のほぼ全部がお休みになる。


本当なら大学一年のこの夏はバイト三昧のはずだったけど、先週になってバイト先が潰れて当てが外れた。


妙に忙しい会社だったのはうまくいってなかったからだったんだなぁ、と今さらわかっても遅い。メールが一通来てそれで終わり。仲良くなり始めていた人たちともこれで縁が切れると思う。


あーあ。私の人生 こんなことばっかりなのかも。




『バイト先が潰れちゃったの。夏休みまるまるヒマになっちゃったよ。どうしようかなって思ってる。
こっちは今日夕焼けがすごくきれいだったから撮ってみたけど、春ちゃんのほうはどう?』


SNSは何もやらないという春ちゃんに宛てて、写真を添付したメールを送る。


同じ中学で教師を続けていた春ちゃんは、去年の春に静岡の実家に帰った。家庭の事情と濁しているらしいけれど、本当は病院を出たり入ったりしている。


暇なら遊びにおいでよと言ってくれたら、元気にしてるって安心できるけど。


朝まできっと返信はない。病院にいるときは、就寝時刻になると電源を切ってるみたい。


きっとまた入院中なんだろうとわかってるのに、諦め悪くスマホをいじりながら夜を過ごす。

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