ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
シゲは時々こういう本質的なことを言う。照れもせず、まっすぐだ。
こういうのをうざがる奴もいるけど、こいつの場合はこの率直さに人が集まる。場を凍らせた後のフォローも自然にできる。おとなしそうに見えて、天性のリーダータイプなんだ、この男は。
ギターの話に戻して、結衣にも気を遣わせないようにしてる。
「お前が弾けるようになれば? 弾き語りできたらいいだろ?」
「シゲを見せてあげたかったのに」
「俺はいいんだよ」
でもさっきまでの親密さはちょっと消えたかも。結衣は動じないように見えて繊細だよね。
苦労するなあ、シゲ。俺の出る幕ないよね、知ってたけど。ちょっと本気で気に入ってたなんてシゲに言ったら、また睨まれるだろうしなぁ。
結衣が帰った後、シゲはかかって来た仕事の電話に出てた。無理しないでくれよ、まだまだ俺と遊ぼうよ。お前の十代最後の夏だよ。
長々話して切った後、疲れたようにソファに倒れこんだ。
「尚人、さっきの動画送って」
「何。結局見せるの?」
「俺が聴くだけ」
なんだよ、独占したいのか。素直じゃないよなぁ、こういう方面は。
それともまさか自覚がないのか? お前、結衣に惚れてるぞ?