ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
「別に意地なんか」


言いかけたけど、守が急に真顔になって立ち止まる。


「純くんには、惚れてなかったよね」


断言されて、あっけにとられて守を見る。


「全然違うって、近くで見てればわかったよ。純くんとも仲良さそうだったけど、そういうんじゃなかったでしょ」


そういうんじゃなかった?  嘘でしょ、守が気づいてたなんて、そんなの考えたことない。ごまかすこともできない、こんなに正面から聞かれたら。


「でも、純は……」

「純くんはベタ惚れみたいだったし、それでいいのかと思ってたけどさ。別れてから今度は姉ちゃんの方が気にしてるとか、意味わかんないけど、俺には」


あ、そういうことか。友達関係だって気づいてたわけじゃない?


「守。シゲが私のことを好きだって思ってた? 中学の時」

「そうだと思ってたけど。受験終わったらちゃんと付き合うとかそういうのかなとか」

「他に好きな人、いたんだよ。今も仲良いの」

「ほんとに? それ先輩本人に聞いた?」


胡散臭そうに言うけど、みんな知らないけどほんとなんだよ。でも嘘が嫌いなんだから、守に言っちゃってもいいよね。


「そう。幼馴染で一個上の人って言ってた。彼女もちょうど帰ってきてて、きっとうまくいくんだと思うよ」

「え、でもなんかの間違いじゃないの、俺にはそんな風には見えないっていうか」

「シゲに聞いたの。その人とは引っ越しても連絡とってたみたい。私が純のことほっとけないのと同じだよ。シゲは私のことは心配してくれてるの、それだけ」

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