ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?


何日かすると、シゲが真央ちゃんについて心配していたことは的外れでもないことが、だんだんわかってきた。


取り分けておいて欲しかった分を全部盛り付けてしまったり、使わないことになっているお皿を使っちゃったり、大雑把なのか話を聞いていないのか、ちょっとヒヤヒヤする。


綾さんは意外と緻密な性格なので、献立を無視して夜に勝手に何か作り置きしているのも癇に障っているらしい。


作っておいてくれた料理の腕も、確かに綾さんほど上手いわけでもない。


「迷惑かけると思うって言ってたのはこういう感じなのかな。シゲに言ってみます?」

「まぁでも立場的にあまり強くは言えないだろうからなぁ。夏休みの間だけって言ってたし、大丈夫。いい子だし」

「立場って?」

「お隣にすごくお世話になってるでしょ。ご飯食べさせてもらったり、何かと世話焼かれてるみたいよ。だから真央ちゃんにも頭が上がらないんじゃない? やけに優しくしてるよね」

「そうですね」


優しい理由はそれだけじゃないだろうと思いつつ同意する。


「結衣ちゃん気にしてるでしょ」

「してないですよ、別に」

「もう、素直じゃないなぁ。二人とも遠慮がちだから進展しないんだよ、君たちは」


綾さんが私とシゲをセットで考えている態度は、今も変わっていないらしい。そういうのをこっそり嬉しく思っちゃう私だけが、変わっちゃったってことか。
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