ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?

真央ちゃんはそんな私たちの戸惑いに気づかないらしく、今日も彼女らしく元気に話しかけてくる。うん、ほんといい人で困りますね、綾さん。


「昨日うちに古瀬さん来たんだけど、純くん新しい彼女ができたんだって! やっぱり別に終わってるんだよね、結衣と彼。シゲが変なこと言うから私も信じそうになっちゃったけど」

「新しい、彼女?」

「うん、最近夜遅かったりするらしくって、また付き合ってる女の子がいるでしょって問い詰めたら吐いたんだって。すっごい嫌がってた。息子大好きな人だよね」

「純が連れてきたとか、そういうこと?」

「えーと、今度紹介するとかなんとかだったと思うけど。あれ? 気になる?」


彼女? 何言ってんの、純。


それからランチの時間まで、私はお皿を割って、指に軽いやけどをして、かなりの役立たずぶりだった。


ランチタイムになっても「結衣、どうしたの? 寝不足?」と尚人くんに聞かれるほど何か失敗したようだったけど、それどころじゃなくてずっと考えてた。


シゲに本当のことを言うどころか、また彼女のふりをしてくれる誰かを見つけたってことなの? 私の代わりを?




そんなの、ダメ。


最初は良くても、絶対後悔する。嘘が重なって、きっと苦しくなる。
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