ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?

片付けしなくていいよと言ってもらったから、玄関のほうから建物の裏に回って、無視できないように電話を長く鳴らした。


「新しい彼女ってどういうこと?」

純が沈黙する。言い訳すらできないのか。

「ほんとなの?」

『誰に聞いたの、そんなの』

「誰でもいいでしょ。純、私以外の誰と付き合うっていうの。そんなのやめてよ。だったら私でいいでしょ」

『そんなつもりじゃないけど……それに結衣には東城くんがいる』

「そんなの言い訳にならない。シゲとはそういうんじゃないんだって言ったでしょ。どうしちゃったの? ちゃんと話そうよ」

『誰かを結衣の代わりになんかしないよ。心配しなくても大丈夫だから。結衣は自分のことだけ考えてて』

「純、そんなのダメだよ。私、純が好きだし大事だよ。他の子と付き合ってほしくなんかないよ」


そう言っても『ありがとう。でも大丈夫』と通話は終わった。たぶん、今はいくら言っても無駄なんだろう。




私の代わりにしないってどういうこと? まさか本当に付き合うってことじゃないでしょ? 恋人ができたんだよね?


帰りが遅くなる言い訳なんて、他にもできるはずなのに。きっととっさに嘘をついたんだ、純も。




そのまま会社裏の壁に寄りかかり考えてたら、愛華からも古瀬くんに彼女ができたんだって、ともう情報が入った。早すぎる。母親情報だ。


純、また嘘をつき始めて、彼女じゃなくて彼氏だって誰かに感づかれたらどうするの?
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