ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?

ここにもいるペンギンを見てから、建物内の小動物達を見に行った。夜活動する動物たちのエリアは昼夜逆転させて部屋の中が暗くしてある。


ちょっとドキドキする雰囲気になっていてカップルが結構いた。見てたのはネズミやコウモリだったりするんだけど。


「夜空を飛んでるんだったら、下のほうにコウモリがいてもいいかな」

「何が描きたいのかわかんなくなってるだろ、それ」


また言い当てられる。水族館のときみたいにぴんとくる感じがしない。


「あんまり考えるなよ。結衣は頭使わないときのほうが面白いよ」


また失礼なことを言いながら、頭にぽんっと手をおかれた。こういうのって女子の心を揺さぶる鉄板なんですけど。


わかっててやってるの?と暗い中ちょっと恨めしく見上げると、シゲがなんだか悲しそうな顔をしていた。え?と思った時にはもう明るい出口を目指して歩き出してしまう。


なんだろう、今の。暗かったから見間違いかな。

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