ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
酔いの勢いで付き合ってた振りのことをバラそうとしてる。そんなのもう必要ないし、タイミングが悪すぎる。
「もういいから、純。ね、今酔ってるから変なんだよ、座って?」
「守ってくれた? なんなんだよそれ」
ドンと音がして、シゲが純の胸倉をつかんで横にある壁に追いつめた。
純が突然のことに怖がって目を見開いている。きっと今酔いも少し覚めたはず。
「シゲ、やめてよ」
「結衣は黙ってろ。こいつに聞いてる」
「違うってば、シゲ。落ち着いてよ」
シゲと純の間に入りたいけど、うまくいかない。
「なんでかばうんだよ。古瀬、意味がわかるように説明しろよ」
純はどうしていいかわからなくなっているようだった。その表情がたぶんシゲをさらにイラつかせている。お父さんとおじさんと同じ構図だ。
ドン、ともう一方の手が純の肩を壁に押しつける。
「言えよ」
純、うまく言い抜けて。
「あの、僕は、結衣とはちゃんと付き合ってたわけじゃなくて、ほかに好きな人がいたから……」
「は? ふざっけんなよ、お前」
振るわれそうになった拳を「やめて!」と抑えた。